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TRIAL REPORT ・ 途中経過

キャベツ育苗投入試験
― 途中経過レポート ―

作物:キャベツ(セル成型苗)/2026年7月15日

要旨(サマリー)

バイオチャージャー区は苗質(茎径・根張り)が向上

キャベツのセル成型苗を対象に、育苗培土100Lあたりに微生物・アミノ酸資材「バイオチャージャー」を1kg投入した区(以下バイオチャージャー区)と、無投入区(対照区)を比較した育苗試験の途中経過である。6月23日播種、7月2日・7月13日および根鉢確認時点の観察・写真、ならびにバイオチャージャーの成分分析3種(肥料成分・アミノ酸・微生物叢)をもとにまとめた。

現時点の暫定所見は、バイオチャージャー区のほうが胚軸(茎)が太く、根鉢が緻密で、キャベツ定植苗として望ましい形に仕上がっている、というものである。当初懸念した「投入過多による徒長・軟弱化」は、バイオチャージャー区では明確には認められなかった。ただし茎径は写真からの目視概算(±20〜30%)にとどまり、また育苗段階の苗質と結球期の成績は別問題であるため、最終判断は茎径の実測と定植後〜結球期までの追跡を待って行う。

暫定結論:バイオチャージャーは苗質(茎径・根張り)を向上させている。無投入区より優れる。最適投入量の最終判断は「茎径の実測」と「結球期までの圃場成績」で確定する。

1試験概要

試験の目的と条件

目的 育苗培土へのバイオチャージャー投入がキャベツ苗の生育・根張り・苗質に与える影響を評価する
作物 キャベツ(セル成型苗)
播種日 2026年6月23日
観察・記録 7月2日(播種9日後)、7月13日(播種20日後)、および根鉢確認時
供試資材 バイオチャージャー:Bacillus属主体の微生物+アミノ酸を含む有機質資材(分析証明書の旧称表記:バイオピクシー)
区の設定 バイオチャージャー区(培土100Lあたり1kg投入=10g/L)/対照区(無投入)
育苗環境 夏期育苗(7月・高温期)、屋外ベンチ上のセルトレイ
2供試資材(バイオチャージャー)の分析データ

第三者機関による成分分析

以下の第三者分析証明書は、旧称「バイオピクシー/BioPixie」名義で発行されたもの。本レポートでは資材名をバイオチャージャーに統一し、証明書上の表記のみ併記する。

2.1 肥料成分

環境研究センター(茨城県)による肥料分析結果(証明書の試料名:バイオピクシーT、検体番号23110035、報告日2023/05/15)。

分析項目 結果 単位
水分 9.9 %
灰分 11.7 %
pH(22.2℃) 5.4
電気伝導率 EC(25.0℃) 4.11 mS/cm
窒素全量(N) 6.3 %
りん酸全量(P₂O₅) 1.3 %
加里全量(K₂O) 2.3 %
石灰全量(CaO) 0.71 %
苦土全量(MgO) 0.47 %
炭素窒素比(C/N比) 6

要点:窒素6.3%・C/N比6と、単なる菌資材ではなくチッソの効きやすい有機質肥料。EC4.11mS/cmは資材単体としてやや高め。

2.2 アミノ酸組成

日本食品分析センター(証明書の検体名:バイオピクシー、報告日2023/07/04)。主要アミノ酸を抜粋(合計約37.7%)。

アミノ酸 % アミノ酸 %
グルタミン酸 7.06 アスパラギン酸 4.39
アルギニン 2.60 ロイシン 2.97
リジン 2.21 セリン 1.99
プロリン 1.96 フェニルアラニン 1.96
バリン 1.86 イソロイシン 1.75
アラニン 1.73 グリシン 1.72
スレオニン 1.57 チロシン 1.30
ヒスチジン 0.99 システイン 0.55
メチオニン 0.53 トリプトファン 0.52

要点:アミノ酸総量が約38%と非常に高く、グルタミン酸・アスパラギン酸が突出。これらは植物が直接吸収でき、栄養成長(茎葉の伸長)を強く促す。

2.3 微生物叢(16S rRNA 解析)

2024年12月 バイオチャージャー(証明書表記:BioPixie)菌叢解析(16S rRNA ロングアンプリコン)。属レベルでBacillusが約70.7%を占める枯草菌主体の資材。

主な菌(種レベル) % 備考
Bacillus / Niallia nealsonii 21.03
Bacillus subtilis(枯草菌) 12.59 PGPR
Clostridium sporogenes 12.30 嫌気性
Bacillus sonorensis 11.83
Bacillus velezensis 7.96 PGPR/防除
その他 Bacillus 各種
Staphylococcus / Enterococcus / Lactobacillus 等 少量

要点:B. subtilis/velezensis は生育促進菌(PGPR)として知られ、オーキシン・サイトカイニン様物質の生成、根の発達促進、病害抑制の作用が報告されている。

3投入量と養分負荷の試算

培土1Lあたりに加わる主要成分

バイオチャージャーを培土100Lに1kg投入(=10g/L)した場合の、培土1Lあたりに加わる主要成分の試算。

成分 100Lあたり 培土1Lあたり(換算)
窒素(N 6.3%) 63 g 約630 mg/L
アミノ酸(約37.7%) 約377 g 約3.8 g/L
加里(K₂O 2.3%) 23 g 約230 mg/L
りん酸(P₂O₅ 1.3%) 13 g 約130 mg/L

参考:一般的なプラグ用培土の初期施肥(スターターチャージ)の窒素目安は概ね100〜200mg/L。今回の窒素負荷(約630mg/L相当)はその3〜6倍にあたり、C/N比6・アミノ酸主体で分解が速いため、初期からよく効く水準である。ただし後述のとおり、これが徒長として現れたかどうかは実際の生育で判断する必要がある。

4生育経過

発芽から定植適期まで

6月23日播種。7月2日(9日後)には子葉から本葉が展開し始め、発芽・立ち上がりは概ね良好。7月13日(20日後)には本葉が展開して生育が進み、この時点でトレイ間・区間の差が明確になってきた。根鉢は白根がセル全体に回り、定植適期に入る水準に達している。夏期の高温下での育苗であり、生育スピードは速い。

5区間比較(バイオチャージャー区 vs 対照区)

現時点での区間比較

写真(根鉢確認時の接写を含む)に基づく、現時点での区間比較。茎径は写真からの目視概算値。

項目 バイオチャージャー区(1kg/100L) 対照区(無投入)
胚軸(茎)の色 紫〜赤味(アントシアン)
茎の太さ
※目視概算
太い(拡大確認でも明らかに太い/概算 約2.7mm) やや細い(概算 約2.35mm)
草姿 締まって充実、直立 相対的に伸び気味
根鉢・根張り 白根が密で均一、根鉢が緻密 根が上部まで回っておらず、密度・均一性で劣る
総合(苗質) 良好(キャベツ良苗の形) 標準

注:区の識別(どちらがバイオチャージャーありか)は試験者提供の写真ラベルに基づく。バイオチャージャーあり=緑の胚軸、無投入=紫〜赤味の胚軸。

📷 セルに対する根の張り方(写真比較)

対照区の根鉢
対照区(無投入)
紫の胚軸・茎が細く、根が上部まで回っていない
試験区BCの根鉢
試験区(BC有)
緑の胚軸・白根がセル全体に密に回る

育苗トレイ全体の比較

7月6日 育苗トレイ全体
7月6日(播種13日後)|左:対照区(無投入)/右:試験区(BC有)
7月13日 育苗トレイ全体
7月13日(播種20日後)|左:対照区(無投入)/右:試験区(BC有)
6途中所見(考察)

現段階での考察

  • 苗質はバイオチャージャー区が優位。 胚軸が太く、根鉢が緻密で、キャベツの定植苗として望ましい形(活着が良く倒れにくい)に近い。太い胚軸と強い根張りはキャベツ苗の明確な長所である。
  • 「投入過多による徒長・軟弱化」は現時点で認められない。 むしろバイオチャージャー区のほうが締まって充実しており、当初の懸念(高チッソによる徒長)は顕在化していない。菌(PGPR)由来のホルモン様作用+アミノ酸+適度なチッソが、根の発達と胚軸の充実に寄与した可能性がある。
  • 養分負荷は高めだが、苗の姿には悪影響として現れていない。 試算上の窒素負荷は約630mg/L相当と一般目安の数倍だが、根が白く健全に張っていることからも、急性の塩類障害や明確な軟弱化には至っていない。
  • ただし「良い苗」と「良い結球」は別問題。 キャベツは単一頂芽から結球する。育苗段階の充実が、結球期にチッソ過多による外葉過繁茂・結球遅延・球の緩み・軟腐病リスクとして跳ね返る可能性は残る。ここは苗の見た目だけでは判断できない。
7本レポートの限界・留意事項

数値の確度と評価範囲

  • 茎径は未確定。 数値は写真からの目視概算で、誤差は±20〜30%程度。「バイオチャージャー区が太い」という方向は複数の観察・拡大確認と一致するが、確定値ではない。定規・コインを併写した画像でのエッジ検出による実測が必要。
  • 比較は主に写真に基づく定性評価であり、反復数・測定サンプル数は限定的。
  • 作成過程で解析者が区ラベルを一時取り違え、途中の見立てを修正した経緯がある。本レポートは最新の試験者ラベル(バイオチャージャーあり=緑/無投入=紫)に基づき統一している。
  • 育苗段階のみの評価であり、定植後〜収穫(結球)までの成績は未評価。
8今後の確認事項・次のステップ

確定に向けた検証計画

  • 茎径の実測。 茎の脇に定規またはコインを添えた画像を撮影し、両区の茎径を複数箇所で実測(平均±誤差)して確定する。
  • 投入量の比較区設定。 無投入/半量/1/3量/1kgなど段階を並べ、キャベツ良苗基準(茎径3〜4mm・本葉4〜5枚・主茎1本・徒長なし・白根緻密)に最も近い量を特定する。
  • 育苗後半の管理。 灌水をやや控え、採光・通風を確保して苗を締める(効かせても徒長を抑える)。
  • 定植後〜結球期の追跡。 活着、外葉の茂り具合、結球の早晩・締まり、球重、病害(軟腐病等)を記録し、「バイオチャージャー区が結球でも優れるか、チッソ過多で結球が緩む/遅れるか」を判定する。
  • 記録項目の標準化。 区ごとに茎径・草丈・節間長・本葉数・分岐有無・根鉢状態・結球データを一覧化(記入用シートを別途整備)。

本レポートは途中経過であり、暫定結論は今後の実測・圃場追跡により更新される。

株式会社バイオテクノ産業|本レポートは試験事例の記録です
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